C学童期(有能感)      近隣社会 学校

生産性(できる) VS 劣等感(できない)

 学校へ通うようになり、積極的に外の社会に関与し始めます。幼児期では他人に勝つことに向けられていた欲求や願望が、この時期は個人的な達成感をもたらす知的・身体的技能の修得に向けられてきます。そして、達成したときに他人にほめられると(他者評価)有能感を得ることができ、自分のとりえや良さに気づいていきます。しかし、達成感を感じないと、自分は何をしてもうまくできないという不全感と自信のなさに悩むことになります。有能感を獲得すると、家庭での悩みや人間関係の悩みを持ちながらも、自分の適正に気づいて、自分の得意なことに関してはやればある程度のことは達成できて、それを誰かが評価してくれるという信頼をもち、現実に達成するための努力をおこたらないようになります。そして他人からほめられると心の底からうれしさがこみ上げてきます。この繰り返しがこの時期の心の不安を和らげてくれます。しかし、この時期の子供の自己表現はまだ社会が要求しているものからはずれ、「主導性」の要素である想像力豊かなものであることが多く、大人が設定する枠からはみ出しがちになります。ですから、大人はそのはみ出しを個性と受け止めながら、上手に子供を認めることが必要です。
 因みにこの時期に前発達段階の「主導性」の獲得が薄い場合、同じ技術の習得でも他人に勝つことに価値を見出しすことがある。さらにその前の段階の「自律性」の獲得が薄く、「過度の従順」という形で引きずっている場合、親の愛を失いたくないので親の期待する評価基準の奴隷と化してしまいます。いずれも外見上は「主導的」に生産性を上げようとしているように見えますが、実際はそうではないので、成績ばかりを評価してしまうと子供はずっと不安を抱いたままになってしまいます。
また、この時期は学校へ通い始めたりと初めて集団関与し始め、その中で10人くらいまでの集団で遊ぶようになり、その中でのルールをつくり、衝突を意識的に避けようとする態度が現れ始め、共同遊びができるようになる。このことが後に大人の社会に入るための重要な役割を果たしている。

馬との関わり
 乗馬技術などの達成感の積み重ねが子供の有能感の獲得につながり、また、高学年になると競技的なことも楽しめるようになってきます。達成感を感じられるためのレパートリーを増やし、劣等感を持たせないことが必要です。現在、進級テストなどで技術の上達を評価し達成感を持たせていますが、これを子供が主導的に楽しんでいるのか?、親や指導員の期待に応えようとしているだけなのか?を見極め、もし後者の場合は「自律性」の獲得を促す(子供の意志の尊重)ことからやり直すことが必要です。
 また、自然発生的な遊びの集団をつくり、ここで初めて周りの人間も含めたルールづくり(群遊び)をするようになります。ファームステイなどのイベントでは大人が表だって関与しない遊びの場の提供が必要です。 小学生になり、いきなり厳しい規則のある集団に入り、周りとの協調性を求められる生活に慣れてしまった場合、その中で独自の発想を持つことはかなり難しいことです。前発達段階で「自律性」や「主導性」の獲得が薄い場合はなおさらです。ですので、乗馬クラブではまず、自律性や主導性を養う場を提供し、子供達が自由に物事を考え実行できる環境づくりが求められます。ファームステイなどはこのことができる絶好の機会です。
 また、ここでの群遊びの経験が、後のリーダーシップの能力の獲得に大きな影響を持っています。

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